こんにちは。
ハルです!
今回はクワガタ以外の昆虫になりますがムネアカオオアリというアリを紹介します。
このムネアカオオアリというアリが寒い冬を耐えるために面白い工夫をしているんですよ!
その工夫を知りたくないですか?
知りたい方は是非続きを読んでみてください。
ムネアカオオアリとは?
和名:ムネアカオオアリ
学名:Camponotus obscuripe
分類:ハチ目アリ科
分布:北海道、本州、四国、九州
体長:働きアリ…7〜12㎜、女王アリ…20㎜弱
皆さんが今まで見たアリの中で1番大きかったアリと同じくらいの大きさ…つまりクロオオアリと並んで日本最大級の大きさのアリです。
出現期:4〜10月
生息場所:平地〜山地
食性:雑食
ちなみに噛まれると痛みがあるくらいには顎の力が強いです。
似ている種類にニシムネアカオオアリがいますが胸の前の方の部分が黒色の場合→ニシムネアカ、赤色の場合→ムネアカという風に区別できます。
トゲアリにも似ているのですがこちらも見分けは簡単でトゲがあるか無いかで判別できます。
結婚できる♂はほんの一部!ムネアカオオアリの結婚飛行
ムネアカオオアリだけでなく全てのアリに共通して基本的に巣の中にいるアリは全て♀アリです。
でも結婚飛行の時期である5〜6月になると巣の中に新女王アリと共に大量の♂アリが誕生します。(山岳部の場合遅れる)
その大量の♂アリと新女王アリは結婚飛行の日になると一斉に巣から飛び立っていき、他の巣のアリと結婚します。
新女王アリ1匹に対して大量の♂アリが飛び立つことになるので結婚できる♂アリはほんの一部です。
他の♂アリたちはクモなどの他の生き物の餌食になったり溺れたりといった最後を遂げてしまいます。
結婚飛行が無事終了した新女王アリは自分の羽を自ら切り落として巣作りに適した場所を探して歩き始めます。
アリの女王をとって巣作りを観察したい!と思ったらこの時期を狙うのがベストです!
恐るべき冬を乗り越えるための高度なテクニック3選
個人的にムネアカオオアリの越冬方法がかなり面白いと思ったのでその方法を紹介します。
ムネアカオオアリが越冬するために工夫している点は3つです。
土の中…ではなく、枯れ木の中に住んでいる
まず1つ目の工夫している点は枯れ木の中に巣を作るという点です。
ムネアカオオアリは森林性で枯れ木の中に住んでいるのですが枯れ木に住んでいる理由は朽木の幹の近くは温度変化が少ないからです。
この性質は普通のアリと同じで普通のアリは地中性で土の中に巣を作ります。理由はムネアカオオアリと同じで土の中が温度変化が少なくて過ごしやすいからです。
何でわざわざムネアカオオアリが普通のアリと違って森林性なのかは私には分かりませんが他のアリと住処を分けることで競合を避けているのではないかと思いました。
体内で高エネルギー源を生成!凄すぎる冬を越すための工夫
ムネアカオオアリが冬を越すための2つ目の工夫は体内で寒さに耐性のある物質を作ることです。
体内にあるグリコーゲンを酵素として使い、グルコースをグリセリンと言われる耐寒性の高いエネルギー源に変えることによって寒さに耐性をつけています。
結構難しい単語をズラズラ並べましたが最初に言った通り寒さに強い物質を作っているということです
ここまでは割とシンプルで分かりやすい内容でしたが3個目は少し分かりにくいけど面白い工夫を紹介します。
自分の体を自ら凍結させる!?驚きの越冬方法!
3つ目のこの方法が1番ややこしいけど個人的に面白いと思った工夫でした。
なんと自分の体を自ら凍結させることで生き延びているのですがこれだけ言われてもピンと来ないと思うので順番に説明していきます。
昆虫の体の中でも凍りやすい部分はやっぱり水分があるところ、つまり消化管などです。
そこで!急激に温度が下がると消化管が凍ってしまう…なら自ら消化管を少しずつ少しずつ凍結させればいいのでは?
とムネアカオオアリは考えました。
でも自ら少しずつ凍結させると言っても結局消化管を完全に凍結させてしまうと自爆してしまうことになります。
ただ普通に凍結させるのではなく「過冷却」と呼ばれる凝固点以下、つまり0℃になっても液体が凍らない現象を使って冬を越しています。
過冷却は凝固点以下になっても凍らないけど振動などのエネルギーを加えてあげると凍るからムネアカオオアリの巣がある朽木を揺らすと巣の中のアリは全滅するのかな?
ムネアカオオアリのように体が小さい昆虫の消化管は体積が少ないので振動を与えられても凍らないみたい
最後に
今回はムネアカオオアリの紹介をしました。
自分の体を自ら凍結させて冬を越すというまさかの手段を取っていたムネアカオオアリでしたが昆虫の冬眠も種類ごとに色々工夫されていて面白いと思ったのでまた面白い眠る昆虫を今度紹介しようと思います。
是非お楽しみに!
参考文献
・ポケット図鑑日本の昆虫1400(1)チョウ・バッタ・セミ 槐 真史 編著 伊丹市昆虫館 監修
・「新板昆虫探検図鑑1600-写真検索マトリックス付-」川邊 透 著者 株式会社全国農村教育協会発行
・虫たちの越冬戦略-昆虫はどうやって寒さに耐えるか 朝比奈 英三 著者 神山 桂一 発行者
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