こんにちは。
ハルです!
今回はクワガタ以外の昆虫になってしまいますがカシノナガキクイムシについて紹介します。
今まで紹介したエンマコオロギやツクツクボウシ、クロメンガタスズメと同じく鳴く昆虫なのですがコオロギやセミ、ガまではまだ分かっても今回はどんな虫か想像もつかないと思います。
どんな昆虫か気になる方は是非この記事を読み進めてください。
カシノナガキクイムシとは?
和名:カシノナガキクイムシ
学名:Platypus quercivorus
分類:コウチュウ目ナガキクイムシ科
分布:本州、四国、九州、沖縄、ニューギニア、ジャワ、インド、台湾など
体長:5㎜程度(厳密には♂4.5㎜、♀4.7㎜)
出現期:7〜8月
6〜12月に林内で捕獲することができます。5月上・中旬にも材から新成虫の脱出はみられますが数は少ない。(越冬前から成虫になっている個体がいるため)
ちなみに蛹で越冬することはありません。
6月中・下旬が羽化のピークです。
生息場所:林やブナなどの寄生植物内
食性:菌類
外見は細長い円筒形で光沢のある暗褐色の昆虫です。
成虫には正の走行性(光に向かっていく性質)があり、19℃以上になると飛翔します。
背中にあるたこ焼き器で木を枯らす!?
ここまで紹介したカシノナガキクイムシという虫は実はキクイムシという部分からも分かる通り木を枯らしてしまう害虫なのです。
このカシノナガキクイムシが大規模に木を枯らしてしまう「ナラ枯れ」と呼ばれる現象が今社会問題になっています。
カシノナガキクイムシが入り込んだ木はほとんどの確率で枯れてしまいます。キクイムシという名前で木を枯らしてしまう昆虫ですが実際は木を食べている訳ではありません。
でほなぜ木を枯らしてしまうのか?
成虫はマイカンギアという菌を培養するための穴が背中に空いています。
穴の見た目はたこ焼き器みたいです(笑)
このたこ焼き器にアンブロシア菌と総称される共生菌の胞子を取り込んで新しい木に運搬しています。
そして運搬した新しい木でその菌を食べています。
この過程でカシノナガキクイムシが伝播する病原菌がナラ枯れ現象の原因になっています。
まるで人間!♂と♀が連絡を取る方法
さてここからは♂と♀が連絡を取るために鳴くのでその様子を紹介しようと思います。
♂と♀が連絡を取るのは結婚する時です。
結婚の手順にかなり無駄な部分があったりして面白いですよ〜
まず♂が朽木の中に自分がギリギリ入れるくらいの狭い巣穴を作ります。(5㎜程度の昆虫なので穴もそれくらいの規模)
巣穴で♂は♀を誘引するためにフェロモンを出します。
そこへ♀がフェロモンを頼りに♂の巣穴を探してチーチーチーと鳴きながら飛んできます。ここでチーチーチー鳴く必要はない気がします(笑)
そして♂の巣穴を見つけるとチーーーーーと鳴きながら巣穴の入り口に止まります。
ここで♀が鳴かずに黙って入ってくると♂は鳴き声で同種の♀かどうかを判断しているのでボコボコにして巣から追い出します(笑)
ちなみにほとんどの場合鳴きながら入るので大丈夫です。
♀が鳴きながら巣に来たら交尾するのですが、そのためには♀が前に来る必要があるのでこの段階で場所を入れ替わって♀が先頭で巣穴に入ります。
ここで交尾すればいいのですが巣穴が狭すぎて交尾できないので♀に一度巣から出てもらう必要があります。
そこで♂はチーチーチーと鳴き、♀に巣穴の入り口まで戻ってくるように合図をします。
そして巣穴の入り口まで戻って交尾をしてまた♀を先頭にして巣穴に戻っていき、そこで子育てをして過ごします。
1.♀が♂を探しながらチーチー鳴く
2.♀が♂の居る巣穴を見つけるとチーーーと鳴きます
3.♀が巣穴の中に入る
4.♂も巣穴の中に入る
5.♂が鳴きながら巣穴を出る
6.交尾する
7.鳴きかわしながら巣穴に戻る
8.産んだ卵が成虫になるまで♂と♀で一緒に子育てをする
鳴く方法はエンマコオロギと同じでコスリ器とヤスリ器を擦ることで摩擦音を発生させています。
最後に
今回はカシノナガキクイムシを紹介しました。
無駄にしか見えない手順の多い行動をするちょっと面白い昆虫だったと思います。
他にも面白い昆虫を紹介しているのでそちらも是非ご覧下さい。
参考文献
・鎌田直人 カシノナガキクイムシの生態(2002)
・町田龍一郎監修 川崎深雪発行人 くらべてわかる甲虫(2019)
・「むしコラ」カシノナガキクイムシ
・カシノナガキクイムシの穿入・配偶行動
・カシノナガキクイムシ集合フェロモンの構造解明-ナラ類集団枯死の回避を目指して
・小林正秀 カシノナガキクイムシによるマスアタック発生過程と樹木の枯死過程(2004)
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